★高齢者のお口の健康についてのお話しです。
毎日のお口のお手入れの参考にしていただければ幸いです。
高齢者がいつまでも「いきいき」と暮らしていくためには、心身の衰えを予防することが大切です。お口のケアを実践してお口の健康が維持できると、自分の歯でしっかりかみ、充実した食生活を送ることができます。
また、よくかむことで脳の血流が増え、脳神経細胞の働きが活発になるので、認知症予防にもつながるなど、想像以上によい影響を及ぼします。
高齢者が一生おいしく、楽しく、安全な食生活を送るために口腔ケアは、介護予防の第一歩なのです。
歯や歯肉、舌などがある口は、「食べる」・「呼吸する」・「話す」・「笑う」など、生命の維持や人間らしい暮らしや表情をつくる器官として大切な役割をもっています。
しっかりかんで食べるためには、お口の健康が第一です。お口の中の変化に注意しましょう。
1.歯と歯周組織が変化する
歯と歯肉の境目がくさび形にすり減ったり、歯肉が退縮して、露出した歯の根にむし歯ができやすくなります。
2.舌や口腔粘膜の状態が変化する
唾液の分泌量が減るため、舌や粘膜に変化があらわれ、口臭の原因や味覚障害などをひきおこします。
3.歯肉の炎症がおきやすくなる
歯肉が退縮したところに、歯垢、歯石が付着したり、入れ歯があたる刺激などで炎症が起こりやすくなります。
4.お口の中が細菌の培養器になる
お口の中は適度な温度と湿度が保たれているため、歯や入れ歯の面に付着した細菌を積極的に取り除かないと、それが栄養になり細菌が増えてしまいます。
5.入れ歯が合わなくなる
入れ歯は、使っているうちに歯の部分がすり減ったり、自分の歯や歯肉の状態が変化(歯が抜けたり傾いたり延び出たり、あごや歯肉がこけるなど)して、合わなくなってきます。この状態を放置していると、食べ物がかみにくくなり、また、口の中を傷つけたりします。
かむ力を維持していると、食物の栄養の吸収がよいだけでなく、脳が活性化されたり、体力が高まったりします。
からだに活力があふれ、気持ちが元気になると、生活に積極性が出たり、表情も豊かになります。
高齢になると、歯や歯肉のトラブルばかりでなく、嚥下機能の低下や唾液の減少など、お口のはたらきにもトラブルが起こります。
高齢者のお口のトラブルから、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)や口腔乾燥症(ドライマウス)にかかりやすくなるので、十分に気をつけましょう。
1.誤嚥性肺炎
口やのどの構造をみると咽頭のところで、食べ物が通過すると食道と空気が出入りする気道が交差しています。そのため、嚥下機能が低下すると、食べ物や唾液があやまって気管へ入りがちです。
このとき口の中の細菌が肺の中に入りこみ、肺が炎症をおこすことを誤嚥性肺炎といいます。
高齢者の場合、誤嚥性肺炎が命取りになったり、寝たきりの原因になるため、注意が必要です。
2.口腔乾燥症(ドライマウス)
高齢になると、ストレスや薬剤の影響、かむ力の低下などが原因で唾液の分泌量が減るため、口の中が乾燥する人が多く、口やのどが渇く、食事がとりにくい、発音がしにくいなどの症状のある方が多くなります。
口の中の乾燥がひどく、痛みなどの症状がある場合は、ほかの病気も考えられますので、早めに医師や歯科医師に相談しましょう。
予防のポイント
唾液のはたらき
唾液は、1日1~1.5リットル分泌され、歯や口の粘膜を守ったり、むし歯の予防をするなど、さまざまな効果があります。
※唾液の分泌をおさえる薬に注意!
潰瘍治療薬や降圧剤、抗うつ剤、パーキンソン病治療剤、抗ヒスタミン剤、鎮静剤、睡眠薬、利尿剤などには、唾液の分泌をおさえる作用があります。
毎日のお口の手入れで一生おいしく、安全な食生活を送りましょう
歯とお口の健康チェックをしてみましょう。